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「もう5年周期は終わりにする」アビスパ福岡の川森社長に来期の決意を聞いてみた

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こんにちは。ライターの大塚たくま(@ZuleTakuma)です。

 

ぼくが昨年から応援を始めたアビスパ福岡。ようやく、今年J1昇格を決めました!来年からJ1での熱い戦いが始まります。

 

現在は来年に向けた準備期間。オフシーズンなのですが、シーズン中に匹敵するくらい感情が揺さぶられる瞬間もある時期です。

 

「来年、アビスパは大丈夫なの?」
「今のアビスパはどうなってるの?」

 

そこで、2020年12月22日。シーズンを終えたばかりのアビスパ福岡の川森敬史社長にインタビューを行いました。アビスパの来期以降について、ZOOMで詳しくお話をうかがってきました。

 

 

お祭りムードのまま、J1には行かない

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――本日はよろしくお願いします。現在は来期のチーム編成をされている時期かと思いますが、どのような想いでチーム編成に取り組んでいらっしゃいますか。

 

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川森社長:「もう5年周期は終わりにする」というのが一番です。監督を含め、全クラブ職員、それだけが判断基準になっています。私が経験した2015年の昇格は「昇格した」というお祭りムードのまま、2016年に入ってしまったと反省しているんです。

 

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――お祭りムードのまま、J1に行かない。同じ轍は踏まないということですね。

 

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川森社長:その通りです。来年以降はJ1となり、これまで以上に厳しい戦いを強いられます。そのような中で、アビスパのストロングポイントはどこで、ウィークポイントはどこなのか。それを見極めて、来期登録する25人の選手を決断するのが「編成」です。

 

――外国人枠もありますしね。

 

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川森社長:そうです。来期J1を戦い抜くうえで、5名の外国人枠をどう使うかも重要な課題ですね。

 

――そんな補強に関して、質問が多く寄せられました。基本的に編成の細かい部分は全て答えられないと思いますけど、一応……。

 

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川森社長:どうぞ。

 

――「あっと驚く補強はありますか」という質問があったんですが……。

 

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川森社長:「あっと驚く」というのは、一人一人の価値観なので、何とも言えませんね……。

 

――まあ、そうですよね。先ほどもありましたが「お祭りムードのままJ1に行かない」「もう5年周期は終わりにしよう」という強い意志で編成に取り組んでいるということですね。

 

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川森社長:そうですね。それがメッセージになるかと思います。

 

――また、今期の主戦力がレンタルの選手ばかりで、J1に定着するにはレンタルに頼るやり方ではダメなのでは?という意見がありました。

 

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川森社長:「主戦力がレンタルの選手」というか、「レギュラーをつかんだのが結果的にレンタルの選手だった」ということなんですよね。

 

 

――たしかに。そうですよね。獲得した段階で誰がレギュラーをつかむかは、わかりませんもんね。

 

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川森社長:逆に言うと、レンタル契約であるにもかかわらず、あれだけ身を粉にして戦ってくれて、結果を出してくれたわけです。

 

――選手生命が限られている中、レンタルの選手も一年一年が勝負ですもんね。どの選手もかっこよかったと思います。

 

2年間、期待以上の活躍をしたセランテス

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――今回、川森社長にインタビューを行うにあたり、Twitterで質問を募集しました。すると、やはりセランテス選手の契約満了について聞いてほしいという声が圧倒的に多くて。

 

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川森社長:そうですよね。

 

――セランテス選手に対しては、どのような想いを持っていらっしゃいますか。

 

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川森社長:まず入団してくれたことがありがたかったです。ラ・リーガのCDレガネスでバリバリにやっている選手がアビスパに来てくれるというのは、それだけで「感謝」でしたよね。

 

――1年目から厳しいシーズンとなりました。

 

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川森社長:彼にとっても苦しいシーズンだったと思うんですが、ポジティブにゴールを守ってくれたと思っています。今年もほかの3人のゴールキーパーともよくコミュニケーションをとってくれました。若い山ノ井選手には、いろいろ指導もしてくれていました。

 

――人間的にもとても魅力的な選手だったと思います。

 

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川森社長:気持ちを前面に出したスーパーセーブに救われたことが何度もありました。試合でしっかりと仕事を果たしてくれて、クラブ愛も福岡愛も日本愛もある。この2年間、期待以上の活躍をしてくれたと思っています。

 

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――先ほど、限られた選手枠を編成する厳しさについてお話をうかがいました。ぼくも頭ではわかっているんですが、これまでの想いがあって、なかなか気持ちの整理がつかなくて……。

 

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川森社長:毎年、この時期は「プロスポーツの世界の厳しさ」を感じる、辛く難しい時期だと思っています。J1で「勝つ」という目的が第一なので。

 

――サポーターからは、契約満了のリリースの時期に関する質問も多くありました。選手の契約満了リリースのタイミングはどのように判断されているのでしょうか。

 

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川森社長:各選手の個別の事情で全く違いますね。選手についている仲介人、代理人の考え方、その選手の考え方もあります。次に行くクラブが決まっている選手は次のクラブの事情もふまえたタイミングで発表しているとお考えください。

 

クラブ経営の厳しさと難しさ

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――ぼくはまだアビスパを応援してたったの2年目ということもあり「契約満了」のニュースに慣れないんですよね。

 

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川森社長:会社で1年働いて「今年で契約終了です」なんてことはあり得ませんもんね。会社なら、苦楽を共にしたメンバーと一緒に働き続けることができるかもしれませんが、Jリーグには「25人」というルールがあるわけです。

 

――会社で「人数が多いから、来年から雇用できません」なんてあり得ませんもんね。

 

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川森社長:私も長年サラリーマンの世界にいた後に、プロスポーツの世界に身を置きました。私も人間だから「情」はあります。ただ、それは分けて考えなければならない。毎年、この時期になるとクラブ経営の「厳しさ」と「難しさ」を感じていますね。

 

――今シーズン、スタジアムのピッチで輝いている選手たちの一瞬一瞬の姿が、いかに貴重だったか。改めて実感します。

 

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川森社長:選手の契約は、どうしても1年で区切られてしまいます。だからこそ、選手がチームで輝いている瞬間に精一杯の声援を送り、選手を鼓舞してほしいと思います。

 

「チーム強化支援募金」とは

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――「チーム強化支援募金」というものが発表されました。今回の発表を受けて、そもそもサポーターがアビスパに投じている様々なお金がどのようにクラブの力になっているのかが気になりました。

 

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川森社長:なるほど。クラブとしては、間口を広く用意してそれぞれの価値観にあったご支援をしていただければと思っています。

 

――今期はコロナ禍でクラファンもありました。クラファンで集まった資金というのは、チーム強化にはあてられないのでしょうか。

 

▲クラファンでは25,601,000 円を集めた

 

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川森社長:クラファンの資金はクラブ経営に充てられました。サポーターの皆さんの日ごろのチケット購入、グッズ購入費用も全てクラブ経営の力になっています。

 

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――チーム強化の予算とは、また別なんですね。

 

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川森社長:もちろんクラブ経営の状況がよくなれば、チーム強化の予算は増やしやすくなりますので、完全に別というわけでもないんですけどね。

 

――今回の「チーム強化支援募金」は投じたお金が、そのままチーム強化の資金になると。

 

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川森社長:そうです。だから、窓口も問い合わせ先も全て「チーム強化部」になっているんですよ。今回は期間限定ではなく、継続的にいつでも支援できる窓口と言う意味合いです。

 

――なるほど。てっきり、シーズンオフの短期間で強化資金を募っているのかと思いました。満足な強化ができないほどピンチなのかと心配する声もあって。

 

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川森社長:「ピンチ」というか、強化のための予算って、ものすごく「背伸び」をして決めているんですね。さらに、シーズンが始まってからの補強も考えないといけない。強化の予算は多ければ多いほどいいわけです。

 

――たしかに。強くなろうと思えば、必然的にそうなりますよね。いくらかければ足りるというわけでもないでしょうし。

 

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川森社長:前回のサポーターリーダーズミーティングで「昇格したら強化資金はサポーターからも募ります」という提案がありました。そこで、今回一過性でなく恒常的に窓口を設置したということですね。育成部門でも「育成支援募金」という恒常的な窓口が存在します。

 

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▲アビスパ福岡アカデミー&スクール育成支援募金

 

――チケット購入やグッズ購入をすることでクラブ経営を支え、募金で「強化」を支えられる。サポーターも自分の意志に合わせて、支援ができますね。

 

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川森社長:クラブ経営と違って「強化」と「育成」というのは、ちょっと特殊なんですよね。クラブが寄付を募るのは、基本的には「強化」と「育成」だと思っています。

 

――「強化」と「育成」って、それ自体はビジネスではないですもんね。

 

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川森社長:世の中にはいろんな人がいます。「グッズにはあまり興味ないけど、強化費にはお金を惜しまない」「サッカーにはあまり興味ないけど、子どものスポーツのためならお金を出したい」という考えの方もいらっしゃいます。

 

――「支援したい」と思うタイミングもバラバラでしょうし……。

 

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川森社長:そうです。だから、目的に合わせた寄付を受け付ける窓口を常に用意しておくことが大切だと考えています。みなさんが「支援したい」と思ったタイミングで、ご支援いただければ幸いです。

 

コロナ禍でクラブ経営を改善させる施策

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――来期はどれぐらいの集客を目指していきたいと思っていますか。

 

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川森社長:まだ試算中ですが、最低でも1試合あたり7000人~8000人は来ていただけるような状態にしないと、厳しいと思っています。J1に行ったから上がるだろう、という楽観視はしてません。

 

――2020年シーズンはコロナ禍で苦しい経営を強いられました。来期以降、新しく取り組みたいと考えていることはありますか。

 

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川森社長:まずは、チケットを価格変動制にする「ダイナミックプライシング」ですね。試合日程、席種、販売状況、対戦チーム状況などを分析したうえで、試合ごとの需要予測に応じた適正価格で販売を行います。

 

――チケット販売でしっかりと収益を得ることは重要ですよね。

 

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川森社長:その中で、どのようにして皆さんにベスト電器スタジアムへ来ていただき、収支を合わせていくか考えています。チケット以外でも、2020年シーズン終盤に行った「感動体験サービス」には可能性を感じています。

 

――「感動体験サービス」って、サポーターが試合前にスタジアムに入れるようなサービスですよね。何度か見かけた気が……。

 

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川森社長:そうです。たとえば、これまで試合前の練習ではボールパーソンが後ろに立ってボール拾いしていました。「ボール拾いをサポーターにやってもらうとみんな喜ぶのでは」と思ってチケットを売ったら、毎回申し込みがいっぱいで。

 

 

 

――まあ、そうですよね。試合前にピッチに入れる機会なんて、なかなかない。

 

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川森社長:ピッチサイドでカメラを持って練習見学をする企画も申し込みがいっぱい。センターサークルを持ってDAZNに映っちゃおう!とやってみてもいっぱい。

 

――センターサークルなんていいですよね。試合直前のスタジアムの中心に行けるんですから。すごい体験です。

 

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川森社長:でもセンターサークルって、もともと「やるのが大変」って言われていて。「なんでやってないの」と話したら、「センターサークルシートを持つ人を探すのに一苦労で、コストがかかる」と言われてしまって。

 

――ええ~!!それはもったいなかったですね。サポーターなら、お金を払ってもやってみたいと思う人はたくさんいますもんね。

 

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川森社長:あとはアビスパTVですね。まだまだお金をいただくようなクオリティではないんですが、サブスクのようにビジネス展開できればと思っています。

 

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――アビスパTVは今、YouTubeの限定公開になっていますよね。それを疑問視する声もサポーターの中にはありました。

 

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川森社長:自前で動画コンテンツを発信したいと思っているんです。アビスパTVの目的は、単に動画配信で話題提供というわけではなくて、現在は有料コンテンツに発展させるためのテストなんです。それで、サイト内だけでみられる限定公開という形をとっています。

 

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――コアサポーター向けの有料コンテンツ化を計画しているわけですね。ソーシャルメディア等での拡散を目的にしているわけではないと。

 

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川森社長:まだ体制が整わないので中途半端になってしまっていると思います。動画コンテンツの有料化については、まだまだテスト期間中で試行錯誤しているところです。

 

――なるほど。2020年は勝利したときのメモリアルグッズという新たな試みもありました。売れ行きはいかがでしたか。

 

 

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川森社長:けっこうな売り上げがありまして、クラブ経営の力になりました。試合後に即発表することで、購買に繋がっているようです。来年からはちゃんと年間通じて、もっとクオリティを上げて取り組んでいければなと思っています。

 

――サポーターの皆さんで楽しんで、それがクラブの支援にもなるような、そういう循環を起こしたいですね。

 

コロナ禍のパラダイムシフトイヤーで勝つ

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――来期以降も、コロナ禍の影響を受けることが予想される中、社員さんにどんなことを話していますか。

 

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川森社長:コロナ禍のパラダイムシフトイヤーの勝ち組になろう!というのを、社員には伝えていますね。

 

パラダイムシフト:時代や分野内で常識だった認識や思想、価値観が劇的に変化すること。

 

――アビスパ福岡がパラダイムシフトイヤーで勝つには、何が必要なのでしょうか。

 

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川森社長:3つの要素があると思っていて。まずは「変化をキャッチする敏感さ」が必要ですね。常にアンテナを張って、感情やニーズをキャッチしてほしいですね。

 

――川森社長もソーシャルメディアを頻繁にチェックしているのは、変化をキャッチしようとしているということですね。

 

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川森社長:そうですね。2つ目は「こだわりすぎない柔軟性」。クラブのDNAとも言えるような「変えちゃいけないもの」というのはあるけれど、それ以外のものは臨機応変に変えていけるような、柔軟性が必要です。

 

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――たしかに。現場で忙しいと、そのへんがごっちゃになってしまうこともありそう。

 

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川森社長:3つ目は「前向きな問題姿勢を持つ」ということ。うまくいったら「これでいい」と安心するのではなく、「もっとよくするための課題」を探す。悲観的というよりは、攻めの問題意識。

 

――向上心ですね。たしかに、ぼく自身もパラダイムシフトイヤーで勝つために参考にしたい内容ですね。

 

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川森社長:社員全体に意識共有をして、withコロナの時代に立ち向かっていきたいと思っています。

 

自前スタジアム構想はあるのか

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――2020年12月17日のスポーツ報知の記事で、立石敬之顧問がアビスパ福岡自前のスタジアムで日本一の収益を出したいと語っていました。こういった構想は本当にあるんですか?

 

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川森社長:自前のスタジアムについては、立石顧問とも話しています。ただこの「自前」というのは「所有する」という意味ではなく「指定管理者になる」という意味ですね。

 

指定管理者制度:「指定管理者」となれば、自治体が建設して所有する公共施設を、民間事業者が活用してビジネスしてもいいという制度。

 

――セレッソ大阪さんとか、鹿島アントラーズさんのような状態ですね。

 

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川森社長:そうです。指定管理することによって、年間運営計画を立てて事業を行って、収益を上げて、クラブの力にするわけです。月に2試合のホームゲーム以外でも、スタジアムを利用することで収益が上げられるようになります。

 

――たしかに、コンサートとかイベントとか。スタジアムが様々なことに活用でき、クラブの収益になるのは大きいですね。

 

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川森社長:コロナ禍なので、今は優先事項ではないんですが、そういう機運もまた高まってくるはずです。将来のビジョンとして、100億円規模のクラブにするためには必要になってくるものだと考えています。

 

「福岡のコンテンツ」として誇らしく思えるクラブになりたい

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――アビスパ福岡について近い未来の話をうかがいましたが、5年、10年先の未来、長期的にアビスパ福岡をどんなクラブにしたいと考えていますか。

 

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川森社長:福岡の街が持っている、一つのコンテンツとして、地元の方が誇らしく思えるようなプロスポーツクラブになりたいです。福岡のガイドブックに必ず載るような存在に。

 

――たしかに。まずは福岡で、ですよね。

 

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川森社長:そのためにはまず第一にJ1に定着して、日本のマーケットでアビスパの地位を築くこと。そしてACL(AFCチャンピオンズリーグ)でアビスパ福岡という名前をどんどん出していきたいです。

 

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――日本、次にアジア、そして世界というステップを踏んでいきながら、福岡の貴重なコンテンツになっていきたいということですね。

 

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川森社長:あとは日本代表となるような選手を輩出することですね。冨安選手のように世界で戦える選手をアビスパから誕生させていきたいです。

 

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――サッカークラブは地域が世界的に知られるようになる可能性を秘めている、価値のあるものなんですよね。

 

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川森社長:FIFAのおかげで、サッカークラブと一緒に地域のブランドが高まっていく仕組みができているんですよね。街を応援するつもりで、アビスパ福岡が応援してもらえるように頑張ります。

 

――サッカーはもちろん、福岡を愛する人がベススタに集まり、いつも満席の客席で福岡愛を叫べるようになるといいですね。本日はありがとうございました!

 

もう5年周期は終わりにしよう

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川森社長へのインタビューはこれで3回目。約90分間、サポーターの皆さんからいただいた質問をもとにじっくりとお話させていただきました。「どうなのかな?」と思っていたことも、川森社長に直接尋ねることができたので、有意義な時間となりました。川森社長、ありがとうございました!

 

また、ぼく自身もスポーツビジネスについて、とても勉強になったと思います。Twitterで質問やさまざまなご意見をいただいたサポーターの皆様にも心より感謝申し上げます。

 

何より、アビスパ福岡がクラブ全体で「5年周期を終わらせよう」という熱い想いで、来期の準備に全力を注いでいることが、明確な言葉で確認できてよかったです。もう2021年シーズンが楽しみになってきました。

 

来年の目標は「J1中位」!ぼく自身もみなさんと一緒に、また喜びを分かち合える日がくるのを楽しみにしています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

【補足】お時間の許す限りうかがったQ&A

インタビューでお時間の許す限り、答えられる質問には答えていただきました。記事の文脈上、本編で掲載できなかったQ&Aについてご紹介します。

 

Q. 2020年に行ったTwitterの各企画や25周年記念サイトなどのWeb施策は実際に効果があったんですか。

 

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川森社長:数字的な効果は感じています。アビスパ福岡のWeb施策は「UGCを高める」ことを優先して、施策を組んでいるんですね。みなさんがアビスパの話題を取り上げ、どれだけ発言してくれるかというのを大切にしているわけです。試合の時にUGCが上がるのは当然なんですが、問題は試合がない日のUGCをいかに上げるかということ。25周年記念サイトや、今日は何の日などのコンテンツのおかげで試合がない日のUGCはJ2の他クラブと比較してもかなり高い数値を記録しています。

UGC:企業ではなく、一般ユーザーが発信するコンテンツのこと。ソーシャルメディアでの各ユーザーの言及なども該当する。

 

Q. グッズ売り場やオフィシャルショップの品数、対応を充実させてほしい。

 

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川森社長:これはクラブのリソースがまだ不足している部分があり、もっと充実させたいと思っています。私自身がグッズの在庫をチェックしていて、何個ショップで売って、何個ネットで売ってという管理までやっている状態なんです。商品在庫も売り時を見極める力が必要で……。マーチャンダイジングがわかっていて、指示を的確にできる人材が不足しています。ご指摘はおっしゃる通りで、現在の課題だと認識しています。

 

Q. 10/18に開催された『クラブ創設25周年企画 Withコロナ アビスパ福岡ファンミーティング』で、出た意見の中で進行しているものはありますか。

 

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川森社長:じつはファンミーティングで出た意見は、社内でもすでにアイディアとして出ているものがほとんどでした。やれるかやれないかを検討しているので、やれるものから一つひとつ実現させていくつもりです。