こんにちは。福岡のライター・大塚拓馬(@ZuleTakuma)です。
僕は日頃、「メシ通」というグルメメディアで福岡のグルメ記事を執筆しており、先日「一人もつ鍋」の記事が公開されました。
博多駅や天神の中心街から近く、出張やアーティストのライブなどで一人で福岡に来て「あんまり時間がない!」という時でも気軽に食べられるお店を3店厳選してお伝えしています。
味はもちろんですが「アクセス」にも最大限こだわり「新幹線に乗る前に行ける!」という、かなり実用性の高い記事になったんじゃないでしょうか。
そんな中、僕のTwitterアカウントにDMが届きました。
この記事をご覧になったという、とあるもつ鍋店の会社の方からです。
…全部は掲載しませんが「一人もつ鍋専門店として黙っていられない感」のこもった、丁寧ながらも迫力のあるメッセージでした。
「え…?こんなことって、あるの?ライターあるある…なの?」
初めての経験に戸惑いつつ、せっかくなので正式に取材許可をもらい、お店を取材し、記事で魅力をお伝えすることにしました。どんなお店なんだろう…。
- 春吉の「元祖博多麺もつ屋」に訪問
- 元祖博多麺もつ屋の 「麺もつ」って何?
- 麺もつが煮えるまでの間に創業秘話を聞いてみた
- おすすめメニュー「麺もつ味噌味」が完成
- 人気メニューの「極味もつ鍋」も醤油味で!
- 屋台風に楽しめる! 隣の人と鍋を交換する人も
- 麺もつの〆はおじやで!
- 昼はラーメン気分・夜は屋台気分で元祖博多麺もつ屋に行こう
春吉の「元祖博多麺もつ屋」に訪問
春吉にある「元祖博多麺もつ屋 本店」にやってきました。
地下鉄七隈線「天神南駅」から徒歩3分程度で到着し、ソラリア大画面前からは歩いて10分程度かなと思います。
▲DMをくださった楠本さん(左)大将の加古さん(中央)第二事業部の中尾さん(右)
お店に到着すると、元祖博多麺もつ屋を運営している株式会社バグースの楠本さんと中尾さん、そして、独立して春吉の本店で大将をされている加古さんが出迎えてくれました。
DMをくださったのはてっきり広報さんなのかと思いきや、人事課課長の楠本さんでした。
――この度はわざわざメッセージをいただきまして、ありがとうございます!
楠本さん(送り主):いえいえ、こちらこそ! ありがとうございます。
――どうしてメッセージを送ろうと思ったんですか?
楠本さん:メシ通の記事を読んでいて、当然「これは元祖博多麺もつ屋」も紹介されるだろうな…」と思って読み進めてたんですよ。でも、出てこないまま終わっちゃって。
――一人もつ鍋専門店ですし、候補にはあったんですけどね…。
楠本さん:読み終わって「え!!嘘!!」と思って。思わずDMを書き始めてしまいました。送る前に一応、ためらいはあったんですけど。
――「送っちゃえ」と。
楠本さん:送っちゃいました。
元祖博多麺もつ屋の 「麺もつ」って何?
実際に「麺もつ」を試食しながら、お話をうかがいます。まずいただくのは「麺もつ」のみそ味です。
▲麺もつ味噌味 990円
目の前に現れた麺もつに火を入れてもらい、8分ほど煮えてくるのを待ちます。
――そもそも「麺もつ」って、もつ鍋とはどう違うんですか?
加古さん(大将):気軽に食べられるように、最初から麺が入っていることがいちばん違う部分だと思います。
――かなり斬新だと思うのですが、開発の背景はどんな感じだったんでしょうか。
加古さん:お一人様でも気軽に食べられるもつ鍋屋がつくりたかったんですよね。博多名物の「もつ鍋」の美味さを、ラーメンを食べるような感覚で、もっと手軽に味わってほしいという想いがありました。
――なるほど。一人もつ鍋のお店が増えてきたのは、ここ5~6年の話なんですけれども「元祖博多麺もつ屋」の創業は何年前でしたっけ…。
加古さん:2009年なので、11年前ですね。
――11年前!その頃は福岡に一人鍋のお店なんてなかったですよね。
加古さん:なかったですね。
楠本さん:だから「元祖博多麺もつ屋」なんです!「元祖」なんです!
――いや、ホント、載せなくてすみませんでした。笑
麺もつが煮えるまでの間に創業秘話を聞いてみた
▲だんだん煮えてきた!
――煮えてくるのを見守っていると、食欲が湧いてきますね。おいしそう。
加古さん:うちは火力調整のつまみがお客さん側を向いていないんですよ。全部厨房側で調整するようになっているので、お客さんは本当にできるのを眺めて、食べるだけです。
▲調理はすべて加古さんにおまかせ
――かなり斬新なお店だったと思うんですけど、すぐに受け入れられなかったんじゃないですか?
加古さん:そうですね。創業当初はラーメン屋と思って入店されて無言で出ていかれたこともありましたね。あとは「最初から麺が入っているなんて、こんなのもつ鍋じゃない」と叩かれることもありました。
中尾さん(マネージャー):「麺もつ」のイメージが湧きづらい部分も大変でしたね。そこで、窓に「麺もつ」の大きな写真をつけていたんです。
――おお、そうするともつ鍋のイメージと合致しますね!
中尾さん:でも、そうなると店の中がわからないという問題が生まれ、写真の下部分を手作業で切りました。そうすると、窓から店をのぞいて、安心して入ってきてくださるお客様が増えたんです。
▲窓の下半分から店内がのぞけるようになっている
――そういう地道な努力があって、今があるんですね。
おすすめメニュー「麺もつ味噌味」が完成
お話をうかがっている間に「麺もつ味噌味」が完成!
鷹の爪と白ごま・黒ごまを乗せていただきます。
味噌のスープは独自の配合で味噌と牛もつの旨味を凝縮しているとのこと。
味噌の甘みともつの風味が調和しており、まろやかさを感じますが、後味はさっぱりとしています。
もつは小ぶりですが、プリプリで甘い!さっぱりとした甘みのある味噌スープとうまく調和していて、おいしいです。今日は一人鍋なので、この鍋のもつは全部ひとり占め。
麺もつの場合、主役はもつだけではなく、中に入っている麺も主役です。
この麺、表面はフワフワなのに中はしっかりと弾力があって、モチモチしててめちゃ美味い。いくらでもいけちゃいそうです。
――大将、麺がモチモチしてて、めっちゃ美味いです!
加古さん:そうでしょ。ありがとうございます!
――これ最初から麺が入っているということは、早めに食べた方がいいですか?伸びちゃいますよね?
加古さん:いえ、この麺はダシを吸いますけど伸びないんです。むしろ、ダシを吸った麺もおいしいので、あえて時間を置いてから食べてみるのもおすすめです。
大将の加古さんがおっしゃる通り、麺もつ屋の麺は非常に伸びにくく、表面はダシを吸ってふわふわになるんですけど、奥のモチモチ感はずっと残るんです…!
時間が経つと、麺がダシを吸っているのに、モチモチ感はそのまま。これもまた最高なので、ぜひ両方試してみてほしいです。
人気メニューの「極味もつ鍋」も醤油味で!
元祖博多麺もつ屋には、さらに上質な国産もつにランクアップできる「極味麺もつ」というメニューがあります。こちらは人気の醤油味でいただきました。
▲極味麺もつ(醤油・味噌)1,490円
一般的なもつ鍋の醤油スープって、塩気が強くてけっこう「キリッ」としたスープをもつの風味でマイルドにしながら食べるようなイメージです。
しかし、元祖博多麺もつ屋の醤油味のスープは他店と比べてもかなりマイルド。甘味があって、角がないスープです。初めから麺が入っていることも関係しているのだとか。
そんなマイルドなスープに玉ねぎのアクセントが効いていて、これがまたよく合います。
大分県でつくられたこだわりの醤油を使用したスープは、ズズッとすするとホッとする味でした。
「極味麺もつ」の国産もつは、ノーマルもつと比べて甘みとプリプリ度合いがアップ。煮込んでも脂が溶け切らずに弾力が残っていました。
醤油味は途中で柚子ごしょうを加えるのがおすすめ。
マイルドなスープにさわやかな柚子ごしょうがよいアクセントになり、やみつきになるはずです!
もつをモグモグ。麺をズルズル。スープをズズッ。そんな幸せな時間が過ぎていきます。
▲気がついたら麺もつを食べていた楠本さんと中尾さん
――あれ! いつの間にか食べてるじゃないですか!!
中尾さん:お隣失礼します。いただきます~。
楠本さん:見てたら食べたくなっちゃいますね。笑
屋台風に楽しめる! 隣の人と鍋を交換する人も
――食べながらお話していて気づきましたけど、仕切りもないし、みんなで狭い空間にいる感じが屋台と似てますね。
加古さん:そうですね。お客さんには私との会話や、他のお客さんとの会話も楽しんでいただきたいなと思っていますよ。
楠本さん:そうそう、大将はお客さんどうしをカップリングさせるのが上手なんです!!
――へぇー! すごいですね。まさに屋台だ。どんな風に会話を促すんですか?
加古さん:「東京から来ました」と言われたら「あちらのお客様も東京からだとおっしゃってましたよ」という感じで。笑
――いいですね。自然に会話が生まれそうです。
加古さん:お客さんによっては「へえ、それ味噌味なんだ、おいしそうだね」と言って、鍋を取り分けあったりしているのを見かけますよ。
――それはまさに鍋ならではですね。鍋がみんなでつつく文化があるからこそ、できることじゃないですか。ラーメンだったら、絶対そうはなりませんもんね…。
加古さん:ははは、確かに。そうでしょうね。
中尾さん:いやー、そんなことが店内で起こっているとは。それは私も初めて知りました。笑
――記事で紹介した他の一人もつ鍋店は仕切りがあったり、一人だけの空間が楽しめるようなコンセプトだったので、明確に違う点ですね。
麺もつの〆はおじやで!
▲+320円で「おじやセット」がつけられる
麺もつの〆の定番は「おじや」です。
もつ鍋の場合、〆の定番は「ちゃんぽん」なので、おじやを食べることはほとんどありません。
でもみんな分かってはいます。「このもつ鍋のスープでおじやをしたら、メチャメチャ美味いだろうな…」と。
そんなワガママを、今日は叶えられるのです。しかも、独り占め。
――ああああ! 美味いっ!! 大将、美味いですよ!!!
加古さん:ありがとうございます!
――いやー、あんな美味いちゃんぽん麺を既に食べてて、さらにおじやってだいぶはしゃいでますよね。最高の贅沢ですね。しかも独り占めっていう。
楠本さん:お口に合ってよかったです。ぜひ福岡に来たら、麺もつを一度食べてみてほしいです!
――ありがとうございました! ごちそうさまでした。
昼はラーメン気分・夜は屋台気分で元祖博多麺もつ屋に行こう
▲実は焼酎の種類が豊富なのもウリです
いやーほんとにおいしかったです。
元祖ですが「一人もつ鍋」のアプローチの仕方が若干異なり、まるで屋台のような温かいコミュニケーションの中で、もつ鍋を自由に楽しむというものでした。
ぜひ福岡を訪れた際には「元祖博多麺もつ屋」へおいしい麺もつを食べに行ってみてくださいね!
元祖博多麺もつ屋 本店
住所:福岡市中央区春吉3丁目11-17
営業時間:11:30~16:00、17:00~24:00
定休日:水曜
ちなみに「元祖博多麺もつ屋」は春吉だけでなく、福岡県宗像市、そして東京にも店舗があります!
「元祖博多麺もつ屋宗像店」では通販商品の販売も行っております。これを注文すれば、ご自宅でもおいしい「麺もつ」が楽しめます!
東京の店舗はもつ鍋スタイルで店名も違いますが「元祖博多麺もつ屋」と同じ味が、ゆったりとした空間の中で味わえます。
>>九州食彩和風居心地屋 野の葡萄 東京新橋店の情報はこちら
ぜひお近くの店舗や通販で、美味い「麺もつ」を体感してみてくださいね。