こんにちは。ライターの大塚たくまです。
サウナブームと言われ始め、そこそこ時間が経ちました。
ぼくは子どものころから、スーパー銭湯に行くとサウナに入っていました。サウナはどちらかというと好きなんですが、正直「そんなに興奮するほどのものか?」と思っています。
正直なところ「サウナー」と呼ばれる方々の「熱狂」に違和感を覚えているのです。サウナは好きっちゃ好きだけど、なんとなくハマれないのには理由があります。
「入浴中がヒマ」
「意外となかなか汗が出ない」
「水風呂に入りたいと思えない」
一体「サウナー」は何を楽しんでいるのでしょうか?
一度、サウナと真剣に向き合ってみてもいいかもしれないと思ったぼくは、九州屈指と言われているサウナー集団のアジトに潜入しました。
※この記事はかつて存在したWebメディア「be-topia」に寄稿した記事を再編集したものです。
ルーフトップにサウナ? ここは何?
福岡市内某所。
ここは九州のサウナー集団のメンバーの自宅。なんとルーフトップにはサウナスペースがあります。
すごい……。この「サウナアジト」のオーナー、金沢さんにお話をうかがいます。
──こんにちは。今日はサウナの魅力を探りにやってきました!
大塚さんにサウナの良さが伝われば、裾野が広がりそうなので、がんばります。
──(意識高いな……。)ちなみにどうして、こんな場所をつくったんですか?
ぼくはもともと、テントサウナを所持して、それでサウナイベントをやっていたんです。イベントをやるうちに「もっといい場所でやりたい」という話になって。
──それで、この場所と出会ったわけですね。
そうです。それでサウナーである私たちが楽しむ「アジト」をつくりました。住居ではあるんですが、アジトであり、オフィスでもあります。
──好きな人で好きなものを共有するための場所をつくるなんて、ロマンがあっていいですね。ちなみにサウナー集団の中では、どんな活動をしているんですか?
サウナ業界を盛り上げる活力になればいいなと思って活動しています。私たちが活動することによって、サウナがリニューアルされたり、サウナにこだわり始める施設が増えたり。そういう事例がたくさん出てきて「嬉しいね」って話をしています。
──「九州とサウナ」というWebメディアもやっていますよね。
「九州とサウナ」は、九州に住むサウナ愛好家たちがサウナに対する偏愛をひたすら綴っていくというコンセプトで運営しています。私たちのサウナに対する「ありがとう」を表現しているメディアなので、ぜひ読んでみてください。
──へえ、熱量があっていいですね。じゃあ、さっそく読んでみようかな……。
大塚さん。
──えっ、あっ。はい。
まぁ、入りましょう?
そうそう!とりあえず、入ってみてくださいよ!まずはそれから。
──たしかに。まあ、ひとまずサウナに入ってみますか!
正しい作法でサウナに入る
ぼくも服を脱いで、ルーフトップへ。なんとなく、裸でルーフトップへあがるだけで気持ちがいい。
──このサウナ、おしゃれですよね。
これは「バレルサウナ」という、シダー材でつくられたサウナです。イズバという、ロシアの伝統サウナを伝える会社から購入しました。
シダーはサウナにぴったりな木材なんです。香りが良くてアロマセラピーにもなるし、高湿度に耐えて、菌にも強い。
バレルサウナへ入室。
──やっぱりなかなか汗が出ないんですよね。ぼくはサウナに向いていないのかな。
いやいや、まだまだここからですよ。ロウリュをしましょう。
サウナの満足度を高めるロウリュ
ロウリュとは、熱したサウナストーンに水をかけて、水蒸気を発生させることです。
──熱くなってきた!
ロウリュをすることで湿度が上がって、体感温度が上がるんですよ。大塚さんもやってみてください。
──おお、熱くなってきました!!!!
よし、もっと追い込んでみましょう!!!!
水風呂を気持ちよくするためのサウナ
──おお!!!めちゃめちゃ熱い……!!!!! 汗が噴き出る。
大塚さん、無理は禁物です!!ここというタイミングで、すぐに外へ出て、水風呂へいきましょう!
──水風呂苦手なんですけど、たしかに今なら入れる気がする!
一目散に水風呂へ!!
──ぼく、初めてまともに水風呂に入りました。めちゃめちゃ気持ちいいです……。
水風呂に入ったら体を拭いて、水分補給をしましょう!
サウナがもたらす究極のリラックス状態
体を拭いて、水をごくごく。自分の皮膚をみると、赤みがまだらについていました。
──うわ、皮膚になんか変な模様がついています。大丈夫ですかね?
おお!それはサウナーの間では「あまみ」といって「ととのった証」とも言われているものです。大塚さん、いい「あまみ」ですよ!
「あまみ」。こんなの初めて出た。
そして、ぼくは「ととのい椅子」へ。この椅子はリクライニングがついていて、体を倒すと同時に足が浮きます。
なんだこの浮遊感は。
上下の感覚がなくなります。まるで、体が縦に回転しているかのようなフワフワした気分。聞こえるのは自分の呼吸の音と、ルーフトップの風の音。そして、次第に何も聞こえなくなりました。フワフワした感覚だけが体を流れます。
その後、ぼくはサウナに夢中になりました。ある程度スッキリしたら、またサウナに入りたくなるのです。
ぼくはサウナ→水風呂→外気浴の流れを3回体験。気がつくと、1時間半の時間が経っていました。まさか、そんなに夢中になっていたなんて。
あれ?サウナって、こんなに夢中になれるものだったっけ。これ、ぼくが知っているサウナじゃない……。
いったい、ぼくは何を楽しんでいたのでしょうか。
ぼくはサウナで一体何を楽しんでいたのか?
──いや、まさか1時間半も経っているとは。時計を見てびっくりしました。
どうですか? 気持ちよかったでしょう。
──めちゃめちゃ気持ちよかったです。こんなサウナ、ぼくは知らない……。昔からサウナには入っていたんですが、全然違った。
サウナの良さがわかってもらえて嬉しいです。
──なんとなく、金沢さんが「ロウリュ」をした瞬間、知らない世界に行った気がします。ぼくはサウナは知っていたけど「ロウリュ」はまったく知らなかった。
たしかに。一般の方がロウリュに触れる機会って、あまりないかもしれませんね。とくに自分で水をかける「セルフロウリュ」の体験をしている人はなかなかいませんよね。
──ロウリュで湿度が上がって、体感温度が一気に上がるじゃないですか。あれで汗が吹き出て、気持ち良くなったんですよね。
サウナは温度に加えて、湿度が重要なんですよね。ロウリュをすることで、湿度を最適な状況に調整できるんです。そこが、気持ちよさにつながる部分はたしかにあります。
──一般の人と「サウナー」の境界線として、「ロウリュの良さを知ってるか」っていうのがあるような気がしたんですけど、どうですか?
その発想は面白いですね。一理あるんじゃないかと思います。サウナの気持ちよさにおいて、ロウリュの存在はとても重要だと思います。
ロウリュを知るとサウナは楽しい
──よく「水風呂がサウナの主役」って聞くんですが、ぼくは「水風呂」に入りたいと思ったことがなかったんですよね。
たしかに、一般の方からすると「水風呂」は一つの壁ですよね。
──でも、ロウリュで体感温度が一気に上がって、はじめて「水風呂に入りたい」と思えたんです。
なるほど。大塚さんにとっては、ロウリュ後の温度と湿度が体に合ったんでしょうね。
──そうそう! ぬるいジメジメのミストサウナや、カラッカラのサウナでなかなか汗が出なくて……。苦手意識がありました。
はじめて、ご自身にとって温度と湿度がちょうどいいサウナに入ったのかもしれませんね。ただ、温度も湿度も高ければ高いほど良いというわけではないのが、サウナの奥深いところです。至高のセッティングを追い求め続けます。
──なるほど。サウナーもやっぱりロウリュを楽しんでいるんですね。
そうですね。ロウリュもさまざまな切り口があるので。アウフグースや、ロウリュ水をアロマにするとか。ロウリュをどう楽しむかは、サウナーにとってかなり重要であることは間違いないでしょうね。
──でも、ロウリュのあるサウナなんて、普段見たことがないんですよね。
スーパー銭湯の数と比べると、まだまだロウリュが楽しめるサウナの数は少ないんですが、数は増えているんですよ。
──なるほど。一般の人はまずロウリュを体験することが「サウナー」の第一歩目にするのも面白いのかもしれませんね。
ロウリュはサウナ沼の入り口だった
ぼくは「ロウリュ」を知りませんでした。
ロウリュをすることによって、汗をなかなかかけなかったぼくの体からは汗が噴き出し、苦手な水風呂にも自然に入れました。それによって、本当に気持ちの良いサウナの味をしれたのです。
温度と湿度のバランスが気持ちよさに直結することを知れば、いいサウナ探しの旅がスタートするんじゃないかと思いました。
ぼくが住む福岡にも、調べてみると、ロウリュのあるサウナがいくつかあります。ロウリュを知り「いいサウナはないか」と探し始めたのです。
あれ?ぼくももう「サウナー」?
あなたもぜひ「サウナ沼」に飛び込んでみてください。もしかすると、入り口はロウリュにあるかもしれませんよ。
福岡でロウリュのあるサウナ一覧はこちら
※この記事はかつて存在したWebメディア「be-topia」に寄稿した記事を再編集したものです。