こんにちは。ライターの大塚たくま(@ZuleTakuma)です。
8月29日、アビスパ福岡がアルビレックス新潟に負けました。アビスパは5勝6敗と負け越し。昇格を目指すアビスパですが、8月29日現在、15位に沈んでいます。
眠たい試合でした。チャンスすらない試合はホントに眠い #avispa
— 大塚たくま (@ZuleTakuma) 2020年8月29日
チャンスに乏しい、見どころに欠けた試合に落胆。現実的に考えて、今年の昇格はかなり厳しい状態となりました。
……そんな中、始まったのがアビスパ福岡のクラウドファンディングです。
- 謎の多いアビスパ福岡「#ふるさと福岡」クラファン
- 「#ふるさと福岡」の狙いは何?
- クラファンでアビスパ福岡はどれぐらい助かるの?
- 「スポンサー企業への支援」なんてできるの?
- どうしてこんな伝え方になったのか
- 「#ふるさと福岡」は10月31日までどうしていく?
- 「#ふるさと福岡」サポーターと一緒に走るクラファンへ
謎の多いアビスパ福岡「#ふるさと福岡」クラファン
なんで今……?
というのが最初の感想でした。Jリーグ再開からもかなり時間がたってしまいました。もっと早くできなかったのか。
あと「#ふるさと福岡」って何……?
アビスパ福岡は知ってる。「ふるさと福岡」って何?これ、アビスパ福岡のクラファンじゃないの??福岡全体を応援するクラファンって何???そんな抽象的なクラファンある???ってか、そんなことできるの????
クラウドファンディングの詳細ページを見ると「新型コロナウイルスによって苦しむアビスパと福岡の街」という見出しで、アビスパ福岡の観客数が激減していることが書かれていました。
さらに、「福岡国際空港が93億円の赤字」「博多名物の屋台も大ピンチ!」との見出し。
え?それ、アビスパに直接関係ないんじゃない……?
しかし、ふるさと福岡応援プロジェクトの資金使途はこう明言されています。
《ふるさと福岡応援プロジェクトの資金使途》
・無観客試合等に伴う減収補填
・クラウドファンディングにご協力いただいたスポンサー企業への支援
うーん……、どういうこと????やっぱり、アビスパの支援なんだよね。
文章で伝えるのって難しい
いろいろおかしな点はある。でも、ぼくは知っています。「文章で伝えるのって、難しい」ということを。読む人が思っている以上に「文章で伝える」って、難しい。
「人の想いは自然に文章に現れる」なんていう人いますけど、あんなの嘘です。文章という少ない情報では、むしろ誤解されるリスクの方が大きい。
ぼくは何となくクラファンページから「いろんな想いはあるけど、整理できましぇん」という、クラブの切羽詰まった状況を感じました。いろいろ不可解な点はあれど、せっかく動き出したクラファン。なんとか応援したいと思います。
Twitterでリプをくれたアビスパ福岡・川森社長
アビスパのクラファンについて、お友達のよーすけとボヤいていたら、アビスパ福岡の川森社長からリプがきてビックリしました。
よーすけさん 大塚さん
— 川森敬史 / KAWAMORI Takashi (@tkawamori) 2020年8月30日
いつもありがとうございます!横から失礼します。
実は7月九州豪雨災害とクラブの陽性判定リリースにより開始時期を調整しました…初めてのことで行き届かない点など引き続きコメントなどお願いします!
「初めてのことで行き届かない点など引き続きコメントなどお願いします!」
ぼくらのハッシュタグも何もつけていない、拡散も全くしていない会話にいただいた、社長自らの返信。「アビスパ福岡」で検索して、ツイートをひとつひとつ見ていないと気が付きません。熱い気持ちがないわけない。
せっかくの機会なので、ぼくは川森社長にクラファンの真意をお尋ねするために取材を打診しました。
リプありがとうございます!!先ほど、さっそく申込しました。
— 大塚たくま (@ZuleTakuma) 2020年8月30日
私、ライターでして。プロジェクトの紹介記事をつくりたく、可能なら取材させてください。
先ほど、代表アドレスにメール送りましたので、ご検討お願いします。過去にはこのような記事をつくっています。https://t.co/vhEGTX2mAe
すると返信が。
大塚さん
— 川森敬史 / KAWAMORI Takashi (@tkawamori) 2020年8月30日
もの凄い取材量の記事ありがとうございました!今回の取材宜しくお願い致します。川森にてお話しさせて頂きますので、広報に伝えておきますね!
Twitterのリプライのやり取りで取材のアポをとったのは初めてです。さっそく、9月1日にZOOMでのインタビューが実現しました。
「#ふるさと福岡」の狙いは何?
リプをいただいた2日後。
アビスパ福岡の代表取締役社長である川森敬史氏と、今回のクラウドファンディングの担当をされているマーケティング部部長の梶原健氏にお話をうかがいました。
――Twitterで取材依頼を受けてくださり、ありがとうございます! まず「#ふるさと福岡」クラウドファンディングの趣旨を、改めてお聞かせください。
川森社長:「#ふるさと福岡 ALL FUKUOKA クラウドファンディング」はAGAの声を発端に生まれた、クラウドファンディングです。地元福岡の品々を皆様にお届けするという形で実施しております。
※AGA:アビスパ・グローバル・アソシエイツ。2015年に発足した、アビスパ福岡のスポンサー企業を中心に設立された応援団体。
――どういった目的のクラウドファンディングなのでしょうか?
川森社長:クラファンページに記載している通り、まず一つに「無観客試合等に伴う減収補填」、そして「スポンサー企業への支援」ですね。
――アビスパ福岡への支援を募るのが目的のクラファンですよね。なぜ「ふるさと福岡」「ALL FUKUOKA」という言葉を前面に出しているのでしょうか?
梶原部長:このクラウドファンディングはアビスパとスポンサー様だけで完結するプロジェクトではないと思っています。「#ふるさと福岡」をキーワードに、福岡全体にプロジェクトを拡散したいという意図がありました。
――なるほど。「福岡を支援したい」ではなく「福岡全体を巻き込みたい」という意図だったわけですね。似てるようで全然違う。それってちょっとわかりにくいのでは……?
川森社長:おっしゃる通りで、私もTwitterで反応を見て「わかりにくいものになっている」と感じました。これからもっとサポーターやスポンサー様の意見を取り入れて、改善して、よい発信ができればと思っています。
クラファンでアビスパ福岡はどれぐらい助かるの?
――「必死さが見られない」という声も多いのですが、実際のところ、アビスパ福岡はどれぐらい困っているんでしょうか?
川森社長:無観客試合は1試合あたり約1000万円の減収となります。現在は観客を入れてはおりますが、現状平均1800人程度の来場者数にとどまっています。
――かなり厳しい状況ですよね。
川森社長:アビスパの歴史上ないくらいの少ない来場者数です。私たちの認識が甘かったところもあると思います。現在は1試合あたり約400万円ほどの減収になっています。
――1試合あたり400万円の減収ですか。ちょっと想像しきれない額ですね。
川森社長:クラファンですべて補填しようとは思っておりません。まず第一に私たちの営業努力が重要です。クラブの経営状況を改善させるため、現在職員全員で力を合わせて何とか頑張っているところです。
――莫大な減収額の中で今回のクラファンはどれほどの助けになるのでしょうか。焼け石に水になりませんか?
川森社長:今回行われているクラファンは通常のクラファンよりもかなり手数料を下げてもらっています。支援金額から返礼品の購入費用を差し引いた額がほぼ全てアビスパ福岡の運営資金になると考えていただければと思います。
「スポンサー企業への支援」なんてできるの?
――クラファンの資金使途の中に「スポンサー企業への支援」という記述があるんですが、クラブが厳しい状況なのにそんなこと可能なんですか?
川森社長:これもわかりにくい記述だったと思います。「スポンサー企業の減収を支援」という意味ではありません。弊社がスポンサー企業の減収を支援するなどというのはおこがましい話で、そんなことはできないと思っております。
――実際はどのような意味合いだったのでしょうか。
川森社長:支援されると、返礼品分の費用はそのまま商品をご提供くださったスポンサー様に支払われます。このような購入機会を提供できるのが、まずひとつの支援です。そして、何より福岡のスポンサー企業の商品に触れてもらったり、知ってもらったりすることが支援につながるという意味を込めていました。
――今回のクラファンを通じて、スポンサー様の商品を新たに知る人が増えることに価値があるということですね。実際にぼくも「こんなに使ったことがない商品があったのか」とツイートしているサポーターの方を何人か目にしました。
川森社長:ありがたいですね。スポンサー様の商品やサービスの魅力を今回のクラファンを通じて、少しでもお伝えできればと思っています。
どうしてこんな伝え方になったのか
――「わかりにくい伝え方になってしまった」というお答えが何度かありますが、そもそもなぜこのような伝え方になってしまったと考えていらっしゃいますか。
梶原部長:コロナ禍の各対応、クラブ内でのコロナの発生などなど、さまざまなことが重なっており、今回のクラファンのプロモーションに時間をかけることができなかったと反省しております。ここからギアを上げて進めていきたいと考えています。
――たしかにいろいろなことがありました。各対応、大変なことだったろうとご察しします。
川森社長:今回のクラファンはもともと7月に実施する予定でした。しかし、7月に九州豪雨災害が発生し、甚大な被害となりました。そんな時期にサッカーのクラファンを九州でやるというのは現実味がなく、時機を見ようということになったんです。その後は、クラブ内のスタッフに新型コロナウイルスの感染が発覚し、また先送りとなったという経緯があります。
――ただでさえクラファンの開始が遅れていたわけですね。結果的にこの時期にドタバタでスタートすることになってしまったと。
川森社長:「さすがアビスパだ!」と言ってもらえるようなスタートの仕方ができず、申し訳なく思っております。クラウドファンディングへの知見もなく、本当に手探りでやっているような状態です。
――知見はないとのことですが、既に今年何度かクラファンは実行していませんでした?
川森社長:アカデミーのクラファンはアカデミーOBの山下さんからのお声掛けで始まりました。「未来応援レター」のクラファンはSPOLABoさんの企画です。過去2回のクラファンはアビスパ主導というよりは、それぞれの皆さんのお考え、想いの中で立ち上がったものでした。
――なるほど、クラブ主導のクラファンがこれが初めてというわけですね。
「#ふるさと福岡」は10月31日までどうしていく?
――いろいろ課題はありますが、クラファンはすでに走り出しています。これからはどうしていこうと考えていますか。
梶原部長:これからはサポーターの皆様の声を聞きながら、どんどんカスタマイズしていきたいと思っています。皆さんと一緒につくりあげるクラウドファンディングを目指します。
――どのようにサポーターの皆さんからの意見を集めようとお考えでしょうか。
梶原部長:Twitter、インスタグラム、あとはクラファンのサイトのコミュニティ上で、「#ふるさと福岡」に対するご意見を確認しようと思います。集めた意見は、どうしたら具現化できるかを考え、具現化できるものから具現化していくつもりです。
――なるほど。現状でそのような時間はつくれそうですか?
川森社長:「#ふるさと福岡」に対してどういう意見があるのかを、一人担当をつけて確認していこうと思います。これまで、ぼくが個人でやっていましたが、しっかりクラブとしてソーシャルメディアから意見を集めることを体系化します。
――おお、それは心強い! Twitterでのつぶやきが、クラブに通じるわけですか。
川森社長:アビスパに関わる皆様の声を拾い、すぐできるものとリソースが足りなくてできないものを分けて、できるものに関しては準備を進めます。出来ないものも、アウトソースなどでできるようならやっていくつもりです。皆さんの声を拾って、どんどん膨らませていきたいです。
――いいですね。もっと意見交換が活発になり、変化が出てくるとクラファンが盛り上がると思います。
川森社長:サポーターの方が「すぐに反映してくれたな」と実感できるような取り組みにしたいです。
――他には何かサポーターの意見を集めるために、考えていることはありますか。
梶原部長:クラファンが終了する前、10月くらいのタイミングで1度ファンミーティングを行いたいと思っています。クラファンについてはもちろん、それ以外のアビスパ福岡全体について、意見を聞く機会にしたいです。
――なるほど。どんどんサポーターとクラブの意見交換が活発になるようにしたいですね。これまでご覧になった意見で、「#ふるさと福岡」にすぐ取り入れたいというものはありましたか?
梶原部長:皆様の意見を拝見し、プロサッカークラブならではの返礼品を増やしたいと思いました。チアも含めたアビスパのプレイヤーの方々も巻き込んでいきたいですね。
――確かにもっと選手やチアが絡んだ返礼品があると、サポーターの目にもとまりそうですね。
川森社長:いつもやりとりしているサポーターの方から「アビスパ総選挙の『アビスパ政見放送』がとっても面白い」という声がありました。あんな感じで、返礼品の紹介を選手が動画で紹介したらいいんじゃないかと。
#アビスパ福岡選抜総選挙 開催中🐝
— アビスパ福岡【公式】 (@AvispaF) 2020年8月28日
「アビスパ政見放送📺」と題し選手PR動画をお届けしています‼️🎤
20人目は
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⚽️#セランテス 選手⚽️
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🗳️RTが1票となります🗳️
JリーグID投票
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――『アビスパ政見放送』いいですよね!ぼくも更新されてるとついつい見ちゃいます。
川森社長:動画を撮影することで、選手自身も商品を知るきっかけになるでしょうし、すごくいいアイディアだと思ったのでやりたいなと思っています。
――こんな感じでサポーターの意見から、新しくて良いアイディアがどんどん具現化するといいですね!!
「#ふるさと福岡」サポーターと一緒に走るクラファンへ
――率直な疑問に対し、包み隠さず答えてくださり、ありがとうございました!クラファンへの熱量はバッチリ伝わりましたので、ぼくも力の限りリターン品を紹介する記事などを書いて支援します。
川森社長:大塚さん、せっかくなのでお仕事として、アビスパのクラファンを一緒に盛り上げてくださいませんか。
――えっ。
梶原部長:ぜひ情報発信という面で力になっていただけたらと。
――えっ。ぜひやらせてください!!サポーターの厳しい意見も、今日みたいにガンガン伝えちゃいますけど、大丈夫ですか?
川森部長:それがありがたいです!やりましょう!
……ということで、今後、記事執筆という形でぼくがクラファンの後押しに参加することになりました。文章にできることが試されている気がする……。気合い入れて頑張ります。
アビスパ福岡はサポーターと一緒にこのクラファンを成功させたいと思っています。
現状の発信では、そんなアビスパの意図を汲むことはほぼ不可能です。当事者の立場から率直に伝えるのって、ホントに難しいんです……。
ぼくは第三者だからこそ、伝えられることもあると思います。今回の記事もそうですが、このような形でアビスパ福岡の本音とサポーターの本音を届け、建設的な情報発信に貢献できればと考えています。
「#ふるさと福岡」はスタートこそ課題を残しましたが、せっかく走り始めたアビスパ福岡のクラファン。コロナ禍でなかなか一体感を感じられない今、一つになれるチャンスです。
せっかくサッカーが好きになって、アビスパが好きになって、福岡が好きな人たちが集まっています。
ぼくはアビスパに関わる皆さんに「サッカー好きでよかった」「アビスパ好きでよかった」「福岡好きでよかった」って、感じてほしい。ぼくもそう感じたいです。
そのために、自分にできることがあるなら、がむしゃらにやります。どうか一緒に走ってくれませんか。情報をシェアしてくださったり、ぼくの発信するスポンサー様の情報に耳を傾けてくださるだけでも構いません。どうぞよろしくお願いいたします。
ちなみにぼくとアビスパ福岡の関係性はこの記事から始まりました。この記事を読むと、今、自分がこんなことしてるのが本当に信じられません。