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業務スーパーのラグジュアリッチコーヒーはなぜ美味い?珈琲まめ工房を質問攻め

 

ぼくはコーヒーが大好きで、毎日コーヒー豆をミルで挽いて飲んでいます。

 

毎日飲んでいると、コーヒー豆にあまり多額のお金をかけられません。そうなると、コスパが重要になってきます。

 

そんなときにふと気になって買ったのが、業務スーパーの「ラグジュアリッチコーヒー」だったんですが、これがとっても美味しいんですよ。

 

380gで460円(税込496円)という、スーパーで一番安い豆ぐらいの値段で売っているにも関わらず、コーヒー専門店くらい美味しいんですよね。

 

絶対に、これはおかしい。

 

何か秘密があるはず。そう思ったぼくは、取材をスタートしました。

 

 

業務スーパー「ラグジュアリッチコーヒー」とは

業務スーパーの「ラグジュアリッチコーヒー」は、全国の業務スーパーで販売されているレギュラーコーヒーです。

※店舗により価格や取扱いは異なる場合があります。

 

豆を購入すると、袋から新鮮なコーヒー豆特有のパンが焼けたような甘い香りが漂い、車の中に幸せな香りが充満します。あぁ……いい香り……。

 

でもこれって、自家焙煎の豆屋で買い物した時に起きるやつなんですよね……。

 

それがほかのスーパーよりも安い価格で体験できるなんて、明らかにおかしい……。

 

しかも、買った豆をハンドドリップするじゃないですか。すると、プクッと膨らむんですよ。

 

 

豆が膨らむのは、きっと焙煎日が新しくて、コーヒー豆にガスが残っているからだと思います。

 

 

ただ、全国に流通する業務スーパーの豆がそんなに焙煎後すぐに流通されるものなのでしょうか……。うーん、謎だ……。

 

ひとまず、ラグジュアリッチコーヒーは2種類あるので、それぞれを紹介します。

 

モーニングコーヒーにおすすめ「ラグジュアリッチコーヒー」

 

ブラジル、コロンビアの豆を使用したブレンドコーヒーです。厳選された、アラビカ種原料の豆を100%使用しています。

 

シティロースト(中深煎り)で焙煎されており、香ばしいアロマとキレのある苦味が特徴です。

 

コーヒーらしいコーヒーで、ぼくは朝の目覚めの一杯によく飲んでいます。毎日飲んでいる、ぼくのベースとなっているコーヒーです。

 

食後の一杯におすすめ「ラグジュアリッチ モカブレンド」

 

ブラジル、エチオピアの豆を使用したブレンドコーヒーです。こちらも、​​厳選された、アラビカ種原料の豆を100%使用しています。

 

こちらのブレンドは香り豊かなエチオピア産のモカが入っているので、フルーティーで甘い酸味が特徴。ブラジル豆の苦味と、うまく調和しています。

 

ぼくはお昼時の食後のコーヒーとしてよく飲んでいます。このような華やかな風味のコーヒーがこの価格で飲めるのは驚異的だと思います。

 

どちらも美味しいんですが、とくに「コスパが良い」と実感するのは、モカブレンドですね。

 

業務スーパーのコーヒー製造メーカーにインタビュー

さて、業務スーパーのコーヒー豆が気になりすぎたぼくは、とあるWebメディアにこの豆を取り上げる企画を提案。

 

すると「コーヒー豆が安すぎて、原産国の過酷な労働環境が想起される」というある意味スゴイ理由で企画がボツになりました。安すぎてボツっていう、前代未聞の事態。

 

だったら「大塚たくま.com」で取り上げるしかないでしょう。

 

ぼくは、業務スーパーのコーヒー豆を製造している「珈琲まめ工房」に取材依頼を出したところ、快諾。インタビューさせていただきました。

 

珈琲まめ工房(姫路)

 

──今回は取材を受けてくださって、ありがとうございます。

 

田中社長:数あるコーヒーの銘柄の中から弊社商品を取り上げていただき、ありがとうございます。

 

──いえいえ、いつも飲んでいますので、お世話になっております。業務スーパーの「ラグジュアリッチコーヒー」って、いつから販売されている商品なんですか。

 

田中社長:2012年に珈琲まめ工房を創業したときから販売しています。弊社一番のベストセラー商品ですね。

 

──これって、業務スーパーでしか買えないんですよね?

 

田中社長:はい、業務スーパーだけでのお取り扱いですね。弊社は業務スーパーを運営している神戸物産のグループ会社なので……。

 

業務スーパーのコーヒーはなぜ美味しい?3つの理由


──業務スーパーのコーヒーって、スーパーで買えるコーヒーの粋を超えていると思うんですけど、このおいしさの理由は何でしょうか?

 

田中社長:ラグジュアリッチコーヒーのおいしさの秘密は主に3つあります。

 

 

──うわ、すごくしっかりした理由が出てきた。え、コーヒー鑑定士の方が豆を選んでいるんですか?

 

田中社長:社内にコーヒー鑑定士が在籍しており、その方の指導のもと、社員全員が原料の見極めを行っているんです。コーヒー原料の中に入ってる異物をチェックしたり、味や等級を見極め、品質の良い原料だけを仕入れています。

 

 

──高い品質を提供するために、社内で専門家を育成しているんですね。

 

田中社長:弊社の社員全員が、コーヒーの何らかの資格を持っています。

 

 

──コーヒー職人集団なんですね。

 

田中社長:扱ってる人間が高い知識を持っているからこそ高い品質で提供できる。ほとんどが20代〜30代なので、これからもっと成長してくれるはずです。

 

──さらに「新鮮さ」もウリなんですね。全国の業務スーパーで販売されているわけですから、なかなか鮮度を保った状態で店頭に出すのは難しいと思うんですけど……。

 

田中社長:弊社は、設備を最小限のスペースで抑えています。そのため、ほとんど焙煎してから24時間以内に包装しています。社内で豆を貯めておけないから、すぐパックして出荷するしかないんですよ。

 

 

──なるほど。豆の貯蔵スペースが少ないから、すぐに出荷するしかない仕組みなんですね。

 

田中社長:物流センターは日々多種多様な輸入商品や国内グループ会社の商品を数多く扱っていますので、商品在庫はできるだけ少なく管理し、少しでも新しい商品をお届けできるようにしています。早ければ、製造後10日とか2週間ぐらいの商品が店頭に並ぶこともあります。

 

異例の速さで店頭に並ぶ

──それはすごいですね。だから、あんなにいい香りがしてたんだ。小売店で売ってるものは、購入者が買うときに焙煎してからもう3~4ヶ月経ってたりとかも全然ありますから。

 

田中社長:あとは焙煎ですね。ブレンドした状態で焙煎せず、焙煎してからブレンドしています。

 

──つまり、豆ごとに単品焼きしているということですよね。

 

田中社長:水分含有量が違うものを一緒に焼くと、焙煎具合にばらつきが出ます。そのため、単体でベストの状態に仕上げたものを後からブレンドしています。

 

 

──作りたいコーヒーにあわせて、豆の持ち味を最大限引き出せるんですね。そんなに手間をかけて大丈夫なんですか。

 

田中社長:そのために機械で効率化を図ったり、より少ない種類の豆で美味しい味を出せるかを研究しています。

 

業務スーパーのコーヒーはなぜ安い?

 

──なぜ美味しいかはよくわかりました。でも、分からないことがあります。それだけこだわっていたら、380g460円(税込496円)程度なんて価格にはならないはずです。怪しい……。

 

田中社長:え、どういうことですか?

 

──原料を不当に安く買い叩いているんじゃないですか?

 

田中社長:いえいえ、そんなことはないですよ!低価格にもちゃんとした理由があります。こちらです。

 

 

──めちゃくちゃシンプルな理由だ!

 

田中社長:自動化と効率化。徹底的にこだわっています。「業務スーパー」を運営する、神戸物産グループのグループ工場では、とにかく無駄やロス・非効率を徹底的に排除する工夫がいたるところに組み込まれております。

 

──どんなことを自動化されているんですか。

 

田中社長:焙煎、パッケージへの豆の封入など、さまざまな作業を自動で行います。昔は人の目視が必要でしたが、プログラム化をしてミスをなくしています。そうすることで、人的コストも減らしています。

 

工場内ではロボットが働く

──ちなみに、工場の作業員は何名くらいいらっしゃるんですか。

 

田中社長:弊社の工場の作業員は2直勤務を18名で交代しながらやっています。

 

──18名!? 全国の業務スーパーに出荷しているのに、18名でやっているんですか。びっくり。

 

田中社長:他社のコーヒーの会社に比べると3分の1くらいの人数だと思います。実際にラインを回そうと思えば、5人ぐらいいれば大丈夫な状態です。

 


──その少ない人数だと、一人ひとりの責任は重大ですよね……。

 

田中社長:作業者はかなり緊張感を持って仕事をしていますよ。工場のラインのどこかが止まっちゃうと、製造が止まってしまうので。その分、設備のメンテナンスや点検を真剣にやってくれていますね。そういったところで、技量がアップしている側面もあると思います。

 

──それにしても、この人数で全部のコーヒー豆を焙煎しているというのは、やはり衝撃です。

 

田中社長:効率化のために、弊社商品は8アイテムに絞っています。たくさん種類を作ると品種替えなどでロスが出て大変なので。

 

──「原料を安く仕入れているから」ではなく、工場内での工夫で低価格を実現しているんですね。

 

田中社長:同価格帯のものでは、味では負けない自信があります。とにかく、飲んでいただいたらわかると思っていますよ。

 

コーヒーマンとしての経験を工場に注ぎ込んだ

 

──ちなみに田中社長は、どのような経験をして、このような工場をつくるに至ったんですか?

 

田中社長:以前は大手のコーヒーメーカーに、22年勤務しておりました。主に品質管理を担当してまして、設備・原料・品質などいろいろ見てきました。

 

──なるほど。その知見がこの工場に生かされているわけですね。

 

田中社長:極限まで、無駄なロスや非効率を徹底的に排除して作ったのが、今の弊社工場です。

 

──なるほど。珈琲まめ工房さんは、どのような経緯で設立されたんでしょうか。

 

田中社長:経営難で倒産したコーヒー会社をM&Aする形で、そこの立て直しから始めました。スタートは従業員3名の本当に小さな小さな工場だったんですが、業務スーパーの成長に追いつかないので、自分のノウハウを生かした新工場をつくりました。

 

──そうなんですね。やはり、業務スーパーは大きな成長を遂げているんですか。

 

田中社長:創業した2012年当時は、業務スーパーは約600店舗くらいだったんですけど、今は1000店舗に近いですからね……。大きな変化だと思います。これからも、業務スーパーを通じて、美味しいコーヒーを安く提供し続けたいですね。

 

──いや、安すぎるんで、もっと値上げしていいですよ!「絶対に何かある」という確信がありましたが、想像以上でした。本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

業務スーパーのコーヒーを一度飲んでみて!

 

いいお話が聞けて、大満足でした。やっぱり珈琲まめ工房さん、只者じゃなかったですね……。

 

この記事はPR案件ではなく、ぼくの興味だけで制作しました。仕事の合間を縫って、なんとか完成させた記事です。それだけ、業務スーパーのコーヒーがおいしくて、きっと何かあるはずだし、何かあるのなら皆さんに知らせたいと思って、記事をつくりました。

 

記事の制作にご協力いただきました、珈琲まめ工房さん、神戸物産さん、本当にありがとうございました。

 

ぼくをこんな記事を制作するところまで突き動かすコーヒーです。本当に美味しいので、ぜひ業務スーパーで買って飲んでみてください。

 

www.gyomusuper.jp

www.coffeemame.co.jp